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トメアスーリポート2 ナマケモノと泥棒

世界最大の流域面積を誇るアマゾン川の下流にあるのがパラー州です。
アマゾン川を上っていくと中流にアマゾナス州が位置しています。

さらに上流に向かうと、赤道を越えた北半球にあるロライマ州、
ペルーやボリビアとの国境を持つアクレ州、
そして近年開発が著しいロンドニア州があります。
一口にアマゾン川といっても上流には多くの支流があります。
ロライマ州にはブランコ川、アクレ州にはアクレ川、
ロンドニア州にはマデイラ川が流れ、アマゾナス州で合流、大西洋に向かって流れていきます。

河口のパラー州と中流のアマゾナス州。

同じアマゾン川が流れているだけあって対抗意識も強いと聞きました。
パラー州の人たちはアマゾナス州の人たちのことを『プレギッサ(なまけもの)』と呼び、
逆にアマゾナス州の人たちはパラー州の人たちを『ラドラオ(泥棒)』と呼びます。
日本の企業も多く進出して経済成長の著しいアマゾナス州マナウス市には、
現在も多くの人たちがパラー州から移り住んできています。
なるほど、アマゾネンシ(アマゾンの住民のこと)にとって
パラエンシ(パラー州の住民のこと)は仕事を取ってしまう『ラドラオ』かもしれませんし、
のんびりしている『プレギッサ』だから仕事を取られてしまうのかもしれませんね。

さて、私にとってのベレンの第一印象は古い街だなというくらいのなんともぼやけたものでした。
というのも初めて訪れた時は、日本語教師の研修会参加が目的で、滞在時間はわずか20数時間。
タクシーの中から見た街の印象で判断するしかなかったのです。

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●(写真)ヘプブリカ広場には屋台が並び、一日中ラテンのリズムが流れている。

ベレンで初めて乗ったタクシーの運転手はとても親切な人でした。
家族の話、仕事の話をする中で、車内で流していたDVDの音楽を誉めると、
降りるときにはそれをプレゼントしてくれたのです。
そのDVDは「フェルナンジーニョ」というアーティストのコンサートを収録したもので
ゴスペルミュージックと呼ばれる宗教色の強い音楽のDVDでした。

「ベレンは危険なところ。マナウスよりも汚い街。」という先入観で訪れた私でしたが、
会うひとはみんな優しいし、空港も大きくて綺麗だったしで
次に滞在するときはもっと長くいたいなあと思わせる街だったのです。

それから、約6ヶ月。

季節は雨季の終わりとなり、アマゾン川の水量もずっと増した頃、
再びベレンを訪れることができました。

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●(写真)パラー州の郷土料理タカカ。酸っぱいエビのスープにピリリと辛いジャンブーという野菜が入る。

今回の旅の目的はいくつかあります。
マラジョー焼きと呼ばれる焼き物の産地であるイコアラシー海岸や
手つかずの自然がそのまま残っているマラジョー島(面積は日本の九州と同じくらい。
それでも島と呼んでしまうほどブラジルは大きな国です)への観光がひとつ。
それから、ベレン郊外にあるお年寄りの施設「厚生ホーム」を訪れて、
おじいちゃん・おばあちゃんの前でワークショップを行うという目的もありました。

さらにもうひとつは、トメアスー訪問です。
80年も前に日本人が言葉もわからないままに
地球の反対側に海を越えて渡って作りあげた街を自分の目で見たいと思ったのです。

ベレンを出発するバスは片道5時間でトメアスーに到着します。

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●(写真)ブラジルの長距離バスは綺麗で快適。
by amazontoshimin | 2011-07-25 06:34 | 日系社会のおはなし