トメアスーリポート9 一発CAMTAくん!

畑でアサイーやカカオ、胡椒の話をお聞きした時、峰下さんが言いました。
「CAMTAができてから農業もだいぶ楽になったねえ。
作物を出荷しても全部引き取ってくれる。作った分全部ですよ。」
ん?CAMTAってなんでしょう。(その昔「一発貫太くん」ってアニメがありましたが…。)

CAMTAというのは
「Cooperativa Agricola Mista de Tome-Acu(トメアスー総合農業協同組合)」のことです。
現地で栽培されているマラクジャ、アセロラ、アサイーなどのジュース工場もあり、
その製品はブラジルだけではなく日本にも出荷されています。

わたしは日系ブラジル人の人口が日本で最も多い静岡県浜松市の出身です。
駅前にあるブラジル食材店をよく利用していたのですが、
その店で飲んでいたアサイードリンクも
このCAMTAのジュース工場で作られたものだと知って感動しました。

工場を案内してくださったのは佐伯さん。
戦前、アマゾナス州パリンチンス市の奥ビラアマゾニアで
ジュート栽培を成功させた高拓生の子孫のかたです。

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●(写真)CAMTA代表の佐伯さんと。手にしているのは日本で飲んだアサイードリンク。

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●(写真)次々に絞り取られるパイナップルの果汁。いろいろな熱帯果樹に対応できる。

ちょうど工場では、収穫されたばかりのアバカシー(パイナップル)が
ラインに乗っていました。
搾りたての生パインジュースの美味しいこと!

峰下さんが畑でおっしゃっていたように、
収穫された農作物をこの工場でジュースに加工することで、
作物を余らせたり腐らせたりすることはないのだそうです。
このジュース工場ではクプアスー、マラクジャ、グアバーなどのジャムも
作られていてブラジル国内のスーパーやショッピングセンターで購入することができます。

2011年3月に、
日本の明治製菓から「アグロフォレストリーチョコレート」が発売されました。
パッケージには「ブラジルトメアス産限定カカオ豆」と書かれています。
世界恐慌の年に海を越えてやってきた日本人の子孫が、
82年後に日本国中で地球の反対側から農作物を供給しているのですから驚きます。

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●(写真)3月に発売されたアグロフォレストリーチョコ。パッケージだけだったのが残念。

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●(写真)ジャムにバターにオイル。いろいろなところに可能性が転がっている。

トメアスーに来る前、ベレンで、ある日系人女性にインタビューしました。
トメアスーの魅力はフルーツが美味しいところと笑う彼女の名前は野沢エリーナさん。
ブラジルで生まれた後、愛知県蒲郡市で20年間過ごしました。
現在はトメアスーに戻って日本語教師をしています。
自分の故郷はどんなところだったんだろうと思い、
1年前に母親と一緒に帰ってきました。

日本語で生徒と会話をできることが楽しく、
非日系のブラジル人が一生懸命日本語を勉強しているのを見ると嬉しくなるそうです。
先生の数が足りなくて教材作りが大変だったりすることもありますが、
明るくがんばっています。
彼女をがんばらせているのは、
親戚のおじさんの「人間ひとりひとり光るものが違うんだ。」という言葉です。
自分も自分だけの光るものを見つけていきたいと語ってくれました。
その親戚のおじさんは、トメアスーでカカオの栽培をしています。

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●(写真)日本語教師野沢エリーナさんと。生徒は非日系人が多いという。

話をCAMTAに戻しましょう。
現在CAMTAではジュース加工、ジャム製造の他に
クプアスーのバター、マラクジャのオイル、アンジローバのオイルなども生産しています。
今まで廃棄していたものからこれらのオイルが取れ、
化粧品などに流用可能だということがわかったからです。また新たな可能性が広がりました。

一方、以前「黒いダイヤ」と呼ばれていた胡椒は、
文化協会の前にある倉庫に山積みにされています。
保存が効くため、組合員は必要になったときにそれを売るのだそうです。
まるで銀行預金のようです。

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●(写真)倉庫に山と積まれた黒胡椒に白胡椒。いざという時の貯金。やはり黒いダイヤは健在。
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by amazontoshimin | 2011-07-25 08:59 | 日系社会のおはなし